歴史:革命と反動の図像学 小倉孝誠
「革命と反動の図像学 一八四八年、メディアと風景」 小倉孝誠 白水社
「独裁も時にはぜひ必要だ。圧制者がいいことをしてさえくれれば、圧制政治も万歳さ」。
同世代の人々の「精神史」を書こうと構想されたフロベール『感情教育』には、一八四八年の二月革命下、社会主義者が地滑り的に「転向」してゆく姿が描かれている。二月革命の歴史的意味は何だったのか?社会主義者はなぜルイ・ボナパルトの独裁にすり寄っていったのか?
こうした問題関心から、十九世紀を席巻したロマン主義と社会主義、そして、それらを規定したメディアとテクノロジー、風景と音に光を当てる。革命と反動が交錯した時代は、都市に「雷鳴よりも騒々しい」産業革命の轟音が響き、科学が顕揚される一方、人々は教会の「鐘」を通した身体感覚もまだ残していた。「反動」の時代の基底を探る試み。
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